Secret Hitler(シークレットヒトラー)は、ヒトラーを首相につけようとするとファシストと、それを阻止しようとするとリベラル側が戦うボードゲームです。
特徴は、誰が味方で誰が敵かわからないことです。ヒトラーが誰かもわかりません。
つまりひと言でいうと、人狼系のゲームです。
使い方
1932年、ドイツでは重要な転換点を迎えていました。ナチスが最大の議席を持つ党となり、ファシズムが国を掌握しようとし始めていたのです。Secret Hitlerはこの時代をモチーフにしています。
プレイヤーはファシストとリベラル側に分かれ、お互いの陣営を勝利に導くのが目的です。各プレイヤーには陣営を表すカードが伏せて配られます。
カードの表には陣営が書いてあるのですが、これは自分しか見ることができません。しかしファシスト側はゲーム開始時に、誰が味方かを知ることができます。
一方でリベラル側は誰が敵で誰が味方か、わからないのです。このあたりは人狼系のゲームですね。
人数配分は、リベラルチーム(上段)の方が数が多くなっています。投票アクションは多数決なので、そこでは勝ちやすいです。ただし誰が味方かわからないので、意思統一が難しいです。
ファシスト(下段)の方が少数派です。これはファシストの方は味方が判明しているため、有利であるためです。さらにファシストの中にはヒトラーが混ざっています。右端のトカゲの顔をしているのがヒトラーです。
ファシストだけ動物の顔になっています。ヒトラーやゲーリングの顔が書いてあると、たとえイラストでも不愉快に思う人が多いから、じゃないかと思います。特にヨーロッパはそうなんじゃないかなと。
ゲームは複数ラウンドで構成されています。毎ラウンドごとに、大統領候補が首相を選び、信任投票を行います。プレイヤーはJa(はい)とNein(いいえ)で投票します。大統領候補は持ち回りです。
日本だと首相だけですが、ドイツでは当時も今も首相と大統領の役職があります。
過半数の賛成票が得られれば、大統領と首相が決定します。これがこのラウンドの政府になります。否決された場合は次の大統領候補が首相を選び、信任投票を行います。
下段のChancellorというのは、ドイツ首相の英語表記です。
政府ができたあと、大統領は政策カードを3枚ひきます。政策カードにはリベラル政策とファシズム政策が混ざっています。
大統領は一枚を捨てて、残り2枚を首相に渡します。首相は2枚のうち1枚を政府の政策として決定します。
政策が決まると、そのカードを表に向けます。ここではじめて政策が公開されます。ファシズム政策とリラベル政策に応じて、それぞれの置き場所に並べていきます。
どちらの陣営も、自分たちの政策を規定数通せば勝利です。
ファシズム政策が通った場合、大統領も首相もファシストに違いない!! ファシスト判明だ!! ・・かというと、そうでもありません。
たとえリベラル陣営であったとしても、引いたカードが3枚ともファシズム政策の場合は、ファシズムを通さざるを得ません。ここに疑念や駆け引きがあります。
本当にファシストだったのか、たまたまカードをひいただけか・・。真相はゲーム終了までわかりません。
ファシズム政策が通ってしまうと、検閲や処刑といった強力な権限がだんだんと政府に付与されてしまいます。しかしこの権限はリベラル側が政府になった場合も使えます。うまくやればリベラル側が政策を利用して、ヒトラーを抹殺することもできるのです。
リベラル側もわざとファシズム政策を通して、得た権限でファシストを攻撃するという作戦もあります。ある意味リアルな話かもしれません。
リベラル側(下段)は自分側の政策を5つ通すか、ファシストの中に潜むヒトラーを暗殺してしまえば勝利です。開戦の危機から自国を脱出させることができます。
ヒトラーを処刑できれば勝利になるので、ファシストに政策を通されても逆転することができます。ただしそのためにはヒトラーを特定しなければなりません。
逆にファシスト側は、政策を6つ通すか、ファシズム政策を3つ通した後にヒトラーを首相にすれば勝利です。首相になっただけでも勝利できる代わりに、政策では6つ通さないと勝てません。
史実でもヒンデンブルク大統領の下でヒトラーが首相になり、そこから破滅が始まりました。そこをうまくゲームに取り入れています。
誰が敵で誰が味方かわからない中で、うまく自分の側を勝利に導くことが求められます。
The Resistance: Avalon
Secret Hitlerには、同じくKickstarter発のボードゲームであるThe Resistance: Avalon(アヴァロン)の強い影響が見受けられます。開発元は全然別ですが。Avalonもいわゆる人狼系ゲームです。
投票で大統領と首相を選ぶところはまさにAvalonのシステムです。ただ大統領と首相で権限が違うところは一工夫されています。人狼->Avalon->Secret Hitlerでうまくアイデアが発展してきた、と思います。
まとめ
正体隠し系のゲームですが、なかなかおもしろそうですね。筆者もやってみたいです。
お値段は$25+送料$10で、$35(約4,200円)です。
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https://www.kickstarter.com/projects/maxtemkin/secret-hitler
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