(レビュー)クラフトして生き残れ! ビデオゲームをうまく取り込んだ協力カードゲーム RAVINE

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RAVINEは、カードゲームです。2017年11月にKickstarterに登場したゲームです。
筆者はプロジェクトを支援しており、一つ入手しました。実際に遊んでみたので感想を交えて紹介します。

ゲーム内容

RAVINE(峡谷)は名前の通り、峡谷にプレイヤー一行の飛行機が墜落して生き残った。救助が来るまで自力でサバイバルしよう、というゲームです。サバイバルクラフト系のビデオゲームの影響が各所に見られることが特徴です。
説明書のイラストにも峡谷に飛行機が墜落したイラストが描かれています。もっとも、このイラストでは垂直落下していますが…。
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英語でいうravineとは下の画像のような場所です。 画像出典: Wikipedia
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このゲームは協力ゲームです。不時着した乗客全員で力を合わせて食料を確保し、襲い来る野生生物から身を守って生存しよう、というゲームです。プレイヤーが一人でも生き残って救助の日を迎えることができれば、全員がゲームに勝利します。プレイヤー間に勝利の順位はありません。たとえ死んでいてもゲームクリアです。
逆に全滅したら全員負けです。
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ゲームの盤面は下の写真のようにセットアップします。カードゲームなので細かいパーツが少なく、セットアップはすぐにできます。山札として採集カードと夜間カードを積んでおきます。プレイヤーは各自ライフを3-6個持ってスタートします。何個持つかはランダムです。
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プレイヤーは各自、乗客カードを持ちます。航空券をモチーフに作られており、乗客の名前と座席番号まで入っています。乗客は各自役に立つ道具をもっています。持ち物は乗客によって異なります。
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ゲームは一日ごとに進行していき、昼と夜があります。昼の間は採集に出かけられます。採集に出かけると素材や食べ物をみつけてくることができます。ただしライフを1消費します。回復手段が乏しいこのゲームでライフ-1は大きいです。しかし採集しないことにはやがてじり貧になって全滅します。
プレイヤーは採集に出かけないこともできます。出かけなければライフは消費しませんが、回復することもありません。
下の写真は素材です。これらの素材を集めて組み立てることで、道具をつくることができます。
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食料を見つけてくることもあります。ぶどうであったり、食べられるキノコであったりいろいろです。食べるとライフが回復します。
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中には毒キノコのようなマイナスカードもあります。
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夜のフェーズになると、プレイヤー全体で1枚のカードを引きます。夜のカードはほとんどの場合、アクシデントです。
たとえば熊が来るとプレイヤーを襲撃して全員ライフを2失ったうえ、シェルターを作っていた場合はそれも破壊されます。痛恨です。
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狸が来ると食料を1奪われるか、ライフを1消費します。夜間カードはうんざりするぐらい、ろくでもないものばかりです。
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そんな数々のアクシデントは、道具を作っていれば耐えしのぐことができます。槍があれば動物を撃退できます。シェルターがあれば大雨のような一部の天候イベントを無傷で防げます。バスケットがあると、採集時にカードを1枚余計に引くことができます。
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大雨のカードを引くと全員ライフ2を失うところですが、シェルターがあれば無傷で耐えられます。ただしシェルターは3人までしか入れませんが…。
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道具の作成以外にも、かがり火も起こせます。火を起こしていれば動物による一部の襲撃イベントを防げます。
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ただし火は一晩で消えてしまいます。シェルターと違って使い捨てで資源効率は悪いです。しかもすべての動物イベントを防げないので、リスクがあります。
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動物の襲撃やら天候、採集による疲れなどでライフが残り1になってしまった…。そうなると狂気カードを引かされます。「プレイヤーは一番恐れているものの名前を叫び続ける。誰かが自分の名前を呼んでくれたら直る」といった、カードやライフとは関係ないプレイヤー自身の行動を強制されたりします。恐怖により「ほかのプレイヤーに抱き着いていなければならない」なんてのもあります。
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やっかいなことに、治らない狂気イベントもあります。
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そんなこんなでカードを引き続けていると、救出カードが出てきます。そこまで耐えられたら、ですが。
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感想

ここまでルールを読んで、どこかで見覚えがあると思われたかもしれません。このゲームには、マインクラフトのような自分で道具を作るゲームの影響が見られます。あるいはDon’t Starveのようなサバイバルゲームの要素もあります。さらにはボードゲーム「狂気山脈」のような、プレイヤー本人がおかしな行動をしないといけない要素も盛り込まれています。
確かにどこかで見たような要素ばかりなのですが、それがカードゲームとしてひとつのルールに無理なくまとまっていると思います。しかもルールが簡単で、初めて遊ぶ人にもすぐに説明できて即遊べます。協力ゲームなので、次に何の道具を作成するか、みんなで相談しながら遊ぶのは面白いです。
ただ問題なのは、ゲームがあまりにも単純すぎることです。プレイヤーの行動は採集に行くか、何もしないかの二通りしかありません。あとは何の道具を作るかだけです。体力が少なくなったらひたすら待機です。選択肢が少なすぎるので、ゲームとしては退屈だと思います。その代わりルール説明も短くて済むのですが。
またゲームバランスも、バスケットが一度作成できてしまうと、かなり安全に救助まで乗り切れます。この点もいまいちです。序盤はとても緊張感があるのですが。

まとめ

サバイバルクラフトのアイデアと、それを簡単なルールにまとめた点は本当に素晴らしいと思います。単調すぎるのとゲームバランスの点が改善されれば、面白いゲームになっていたと思いますが、今一つというのが正直な感想です。

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