ピクセルアートとストーリーが素晴らしい! Timespinnerをクリアした感想(ネタバレなし)

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Timespinner(タイムスピナー)は2D横スクロールのアクションゲームです。RPGでもあり、探索ゲームでもあります。
先日クリアしましたので、ゲーム内容を紹介したいと思います。以下大きなネタバレはありません。プロローグのストーリー紹介はあります。

Kickstarterでの資金集め

Timespinnerは2014年6月にKickstarterに登場したゲームのプロジェクトです。元々は2015年11月リリース予定でしたが、いろいろと遅れた結果、最終的に2018年9月28日にリリースされました。
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確かに遅れはしましたが、クオリティの高い状態で完成までもっていけたということは、よかったのではないかと思います。
筆者はリリース直後のバージョンでクリアしましたが、致命的なバグには遭遇しませんでした。(ただしクラッシュするバグなどもあったようです。バグ修正版が配信されていました)
https://www.kickstarterfan.com/archives/1498

ゲーム内容

Timespinnerは、メトロイドウァニア(ヴェイニア)と呼ばれるジャンルのゲームです。メトロイドとキャッスルヴェイニア(悪魔城ドラキュラ月下の夜想曲)を合わせてできた用語で、横スクロール探索ゲームを指します。どちらも横スクロール探索ゲームとして有名なゲームです。
対応機種はWindows、Mac、Linuxです。海外ではPS4、PS Vitaでもリリースされています。
Timespinnerの作者がKickstarterで発表した時にが言っていたのは、
・スーパーファミコンやPS1時代のような、ピクセルアート(ドット絵)
・スターオーシャンのような、奥行きのあるストーリー
・悪魔城ドラキュラ月下の夜想曲のような、ゴシック城の探索
・ロックマンXのような、シビアなゲームバランス
です。これらの要素を盛り込んで一つのゲームとして形作りたい、作者はそう言っていました。実際に完成版のゲームでも、ほぼこの通りのゲームになっています。
これらの要素がうまく混ざり合って、なかなか面白いゲームになっていると思います。
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ピクセルアート

Timespinnerの大きな魅力はグラフィックです。ドット絵で描かれたキャラクターや背景は、とても美しいです。単に懐古主義でドット絵が良いということではなく、Timespinnerのえがき方、色の使い方がきれいです。
下の画像は主人公ルネイス(Lunais。作者によればこう読むとのことです)の誕生パーティーの場面です。夜の場面がドット絵で丁寧に書き込まれていて、きれいです。キャラクターもぬめぬめと動いて、操作も快適です。
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アクション

TimespinnerはアクションRPGとなっており、アクション要素はかなり強いです。作者が言った通りアクションゲームの側面があります。
下の画像は、近接武器を飛ばして攻撃しているところです。オーブを2つまで装備できるようになっており、オーブを入れ替えることで近接攻撃を切り替えられます。
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基本は近接攻撃ですが、溜め撃ちすることで遠距離攻撃もできます。遠距離攻撃はエネルギー制ですが、時間で回復するので気軽に連発できます。サクサク撃ててなかなか楽しいです。ビームが出せるのはロックマンっぽいです。
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Timespinnerはアクションゲームでありつつ、RPGでもあります。経験値やレベル、回復アイテム、武器に相当するオーブ、防具などの装備があります。この点は悪魔城ドラキュラ月下の夜想曲に近いところです。
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更に主人公は、一定のあいだ時間を止める能力を持っています。その能力を駆使して敵を倒したり、通路を進んで行ったりします。
またアクションに加えて、探索要素もあります。アイテムを手に入れることで今まで行けなかった場所に行けるようになる、というものです。ただし難しい謎解きはありません。
鍵Aを手に入れたら、Aと書いてあるドアを開けられるようになる、といったかなり直接的なものです。謎解きで詰まらず、アクションに集中して楽しめます。
(下の画像は図書館です。ゴシック風の建物を探索するという悪魔城ドラキュラ的側面もあります)
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この点は、アクションよりも謎解きと探索に重点を置いたLa-mulana 2とは対照的です。

ストーリー

ロックマンのようなアクション、月下の夜想曲のようなRPGと探索、これに加えて作者が盛り込みたいと言っていたのが、スターオーシャンのような豊潤なストーリーです。Timespinnerは魅力のある、おもしろいストーリーを持っていると思います。プロローグ部分のストーリを紹介します。
主人公ルネイスは、時間を操る力を持った一族の女の子です。しかし時間を操作できるということは、とても強力な力です。それゆえにその強力な力を奪おうと、ラキエム帝国(Lachiem)から一族の村は常に狙われてきました。
ラキエム帝国は、複数の惑星にまたがる巨大な星間国家です。元々は別の星を発祥としていますが、勢力を拡大してルネイスの住む惑星ウィンデリアにも進出してきました。このあたりはスターオーシャンのような、スペースオペラ的側面があります。
村はときおりラキエム帝国に襲撃を受けるのですが、危機が訪れるたびに一族の誰かが過去に飛び、一足先に危機を知らせます。危機を察知した一族は無事逃げおおせることに成功してきました。その危機を知らせる役目を帯びた者がタイムメッセンジャーです。
(下の画像は物語の鍵であり、タイトルにもなっているタイムスピナーです。日本語で言えば、時間の糸車というところでしょうか。このタイムスピナーを使うことで、ルネイスは過去にジャンプして警告することができたはずなのですが…。)
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しかしタイムメッセンジャーとして過去に移動すると、同一人物が二人存在してしまうのではないか…? 実は過去に飛んだ人間は、歴史から抹消されて存在しなかったことになります。自分がいたという事実は消えてなくなり、そのため自分の家族からも全く知らない赤の他人として見られます。(だからタイムパラドックスが起きないのだと説明されています)
主人公ルネイスも、タイムメッセンジャーとしての役目を背負っています。タイムメッセンジャーとして過去に飛び、一族に警告しようとします。しかしあるトラブルにより、過去のラキエム帝国を見ることとなります。
ラキエム帝国は主人公ルネイスの村を何度も襲撃してきた、憎むべき敵です。しかし帝国というのは昔からそうだったのか? そもそも帝国とはだれが、どのように創設したのか? 無敵にも思える帝国にも実は過去に敵がいたのですが、その正体というのは…。
(下の画像はルネイスの誕生日に母親と話している場面です。父親はいません。父親は誰なのか? なぜいないのか? これは物語の中で語られます)
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このように深いストーリーがあり、グラフィックと相まって世界観をうまく表現していると思います。ここがTimespinnerの大きな魅力だと思います。
なお現時点ではメッセージはすべて英語です。ストーリー重視のRPGであるため、メッセージ量はかなり多いです。

問題点

Timespinnerは、アクション、探索、RPG、ストーリーが自然に混ざり合っています。まさに作者が言っていたことが実現されています。よくぞ作ったと思います。
しかし唯一にして最大の問題が、ゲームバランスです。筆者は2018年9月末時点のゲームでクリアしましたが、ゲームが簡単すぎました。将来バランスが修正されるかもしれませんが、リリース時点ではあまりにも簡単すぎて、アクションゲームとしてはいまいちでした。
序盤のバランスはいいのですが、2つ目のボスを過ぎたあたりから急激にバランスが崩れてきます。ボタンを押しているだけで雑魚やボスに勝ててしまいます。中盤以降、一度もゲームオーバーにならなかったと思います。ゲームがうまいかどうかではなく、本当にボタンを押しているだけでクリアできてしまいます。
またこのゲームでは地面に穴が開いておらず、地形で死ぬこともありません。このこともあって、まったく緊張感のないゲームになっています。ストーリー重視のRPGなので、地形で死なないこと自体はいいのですが…。
下の画像は足場をジャンプで渡る場面です。落ちても簡単にやり直せます。足場を渡るゲーム、プラットフォーマーと呼ばれるジャンルの側面です。
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もともとアクションRPGはバランスをとるのが難しいです。キャラクターのレベルが上がれば敵が弱くなりすぎたり、回復アイテムでごり押しできてしまうからです。ただ筆者が遊んだときはレベル上げもせず、回復アイテムもほとんど使わず、それでも簡単に進めてしまいました。
Timespinnerは大きなストーリーを、美しいグラフィックで見せるゲームだと思います。ですから、やさしめにゲームバランスが調整されているのは正しいです。ただその調整が、極端に簡単すぎました。
(下の画像はメカニカルな中ボスです。Timespinnerではファンタジー世界もあり、一方で機械化された文明もでてきます)
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これらの話はリリース直後のバージョンなので、いずれ再調整されるかもしれません。ゲーム自体はおもしろいので、ぜひそうしてほしいです。

まとめ

ゲームバランスに問題はありますが、その点を考慮してもストーリーや、世界観を暗黙のうちに説明する背景グラフィックは素晴らしいです。主人公の使える技も多彩で、使っていてたのしいです。
総合的に見れば、なかなかよいゲームだと思います。日本語化できるようになれば、お勧めしたいです。

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