Kickstarter運営が、日本からプロジェクトを掲載できるようにすると発表しました。日本の九ラウンドファンディングサイトとのすみわけは可能なのか?という点を考察します。
Big news! Creators in Japan will be able to launch projects on Kickstarter this year: https://t.co/RrKup5ohGQ
お楽しみに! pic.twitter.com/TDRqXgne6P
— Kickstarter (@kickstarter) May 17, 2017
Kickstarterの制限
Kickstarterではどの国からでもプロジェクトを作成できるわけではなく、制限があります。当初はアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなど英語圏のみでした。正確に言えばほかの国からでもプロジェクトの作成自体はできるのですが、これらの国に現地担当者と銀行口座などが必要です。
しかしKickstarterは2014年から徐々に対象国を拡大してきました。ドイツ、フランス、スペイン、デンマークなど主にヨーロッパ圏が追加され、2016年末にはヨーロッパ以外からメキシコが追加されました。
こういった中、2017年5月、ついに日本から直接プロジェクトを作成できるようになることが運営から宣言されました。2017年中に実現予定と発表されています。
https://www.kickstarter.com/japan
日本のクラウドファンディングサイトはどうなる?
Kickstarterは知名度、ユーザー数、集まる金額などの面で、クラウドファンディングサイトの中では際立っています。一方で日本国内にも独自のクラウドファンディングサイトがあります。Makuake、Campfire、ReadyForなどです。
お金を集めるという点では、ユーザー数の多い場所で集めるほうが有利です。Kickstarterというユーザー数の多いプラットフォームに日本からプロジェクトを載せることができるようになったとき、日本のクラウドファンディングサイトはどうなるでしょうか。
新しく出てくるプロジェクトは、すべてKickstarterに流れてしまうのでしょうか?
結果は実現して時間がたった後までわかりませんが、Kickstarterと日本のクラウドファンディングサイトは共存すると筆者は思います。
言葉の違い
まずKickstarterと日本のサイトの大きな違いとして、言語があります。Kickstarterのプロジェクトページは何語で書いても構いません。実際にフランス語やドイツ語で書かれたプロジェクトのページはあります。
しかし大多数のプロジェクトは英語で記載されています。Kickstarterはいろいろな国のユーザーが見ており、英語にしておくとより多くの人に見てもらえるためです。
一方でMakuake、Campfire、ReadyForなどでは、プロジェクトは日本語で記載されています。日本のユーザーにアピールするときに、これは大きなメリットだと思います。この言葉の点で棲み分けができると思います。
地域密着性のあるプロジェクト
二点目として、地域密着性のあるプロジェクトが挙げられます。クラウドファンディングというと、まず思いつくのがデジタル系のグッズだと思います。例えばOculus Riftであったり、スマホであったり、充電器であったりです。
一方で、本の出版、アート系のプロジェクト、劇などの公演、映画やアニメの制作などもあります。これらはデジタルグッズと比べると、かなり地域依存性があります。
例えばクラウドファンディングが行われた映画「この世界の片隅に」は第二次世界大戦時の日本を舞台にしています。地域を舞台にした映画は、その国のサイトに載せたほうが効果的にアピールできると思います。
またカフェを作りたい、城を改築して観光地にしたい、といった、そもそも対象地域が限定されたプロジェクトもあります。
例えばCampfireにはお店を作る系統のカテゴリーがあります。KickstarterではFoodカテゴリーでカフェが出てきます。
https://camp-fire.jp/category/community
海外サポートの労力
三点目として、海外サポートの労力があります。Kickstarterに載せて海外からも支援を受け付けるとします。しかしそのあとのサポートにはかなりのエネルギーが必要です。国によってユーザーの常識や考え方には差があります。配送の手配だけでもかなり大変です。
最初から世界展開を考えているプロジェクトならばそれもありでしょうが、まずは最小限の手間でクラウドファンディングを始めたい、という場合に日本のクラウドファンディングサイトに載せるのは有効な手段だと思います。
まとめ
・2017年中に、Kickstarterに日本からプロジェクトを作成できるようになることが宣言された
・Kickstarterのユーザー数はとても多い
・しかし日本のクラウドファンディングサイトとKickstarteの間には違いもある
コメント
クラウドファンディングを日本のサイトで成功させた一人として大変興味あります。Kickstarterと日本のクラウドファンディングサイトの手数料の違いも結構大きな違いがあるみたいだけど、(Kickstarterは10% vs 日本サービスは20%?カード決済手数料込み)Kickstarterが日本ローンチしたら日本のクラウドファンディングもその辺見直すのかな?っと思ったりしてます。
なるほど、手数料という視点もありますね。
現状でもCampfireが決済手数料を入れて13%とほかの日本のサイトに比べて安めになっていますが、Kickstarterの参入でまた状況が変わるかもしれませんね。