ブロックを並べるだけで、並列処理や条件分岐ができてしまう教育用おもちゃ | Algobrix(アルゴブリックス)

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Algobrix(アルゴブリックス)は、子供向けに作られたプログラミング教育用のおもちゃです。しかし並列処理といった複雑なことができてしまうところが特徴です。
子供よりも親の方に受けたのだと思いますが、現時点で約8000万円あつまっています。

教育用おもちゃ

今回のAlgobrixの前に、過去にクラウドファンディングでどんな教育用のおもちゃがあったか、その一部を簡単に振り返ってみたいと思います。それらと比較することで、
・Algobrixは、複雑なのか簡単なのか?
・Algobrixは、できることが多いのか少ないのか?
ということがよくわかると思います。
まずSONYがIndiegogoに載せたKOOVです。こちらはブロックを使って組み立てて、iPadやPCを使ってプログラミングするというものです。ブロックで組み立てたカバを歩かせたりすることができます。
KOOVはできることが多い反面、やや複雑です。


次にCubettoです。こちらは自分で組み立てる必要はありません。ブロックでトロッコに移動指示を与えると、その通りにトロッコが動くというものです。付属の冊子に「トロッコをここに動かすべし」という指示が書いてあり、簡単なゲームになっています。
Cubettoのいいところは、非常に理解しやすい点です。またタブレットなどの画面を一切使わず、実際に物を動かすという点もわかりやすいでしょう。
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最後はTuring Tumbleです。上からボールを落とすだけなので、一見すると単純そうです。しかし実はこれが、アナログのコンピューターになっているという驚きのおもちゃです。これで数値計算することもできます。
これも冊子がついていてゲームにはなっているのですが、とてつもなく難しいです。
https://www.kickstarterfan.com/archives/27353

Algobrix

Algobrix(アルゴブリックス)は、ロボット+命令ブロックの組み合わせです。命令ブロックを並べて実行開始すると、その指示通りにロボットが動くというものです。前述のCubettoに近いです。
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ロボットは、レゴブロックのような小さなピースを組み立てて作ります。組み立て方はサンプルとして説明書に記載されていますが、自分で好きなように組み立てることもできます。自分で作るのは絵心がないとできないので、サンプルが用意されていることは重要です。
セットによって入っているピースが違い、それによって組み立てられるものも違ってきます。
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ブロックは正方形をしており、上下左右につなげていきます。このブロック一つ一つが様々な機能を持っています。
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黄色に人型が乗ったブロックが出発点となります。このブロックに、やりたいことをどんどんつなげていきます。
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例えば右に回転する、というブロックを開始ブロックにつなげます。
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そして開始ブロックについているボタンを押すと、ロボットが回転を始めました。この場合は回転しただけですが、音を鳴らしたりライトを光らせたりすることもできます。
ここまでなら、非常に単純です。しかし実は先ほどのブロックには仕掛けがあります。
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先ほど青い「移動」ブロックを使いました。しかし移動と一口に言っても、
・どれだけ進むのか?
・どっち向きに移動するのか? 左なのか? 前なのか?
ということはわかりません。そこでAlgobrixはブロックの上に別のブロックを積み重ねることで、調節できるようになっています。
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下に置くブロックをfunction block、上に置くブロックはparameter blockと呼ばれています。関数にパラメーターを与える、というわけです。アルゴブリックスという名前の通り、コンピューターのアルゴリズムを意図した教育グッズになっています。
下の画像では、左向きの矢印が書かれたブロックを青色のブロックの上に置いています。さらに「2」とも書かれています。
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これは「移動」に「左に2秒間進め」というパラメーターを与えた、という意味になっています。
これでもまあまあ簡単だと思います。ただAlgobrixはもっと先を行っています。
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下の例では、砂時計のブロックに「1」と「4」を重ねています。これは何が起こるでしょうか?
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実は「5秒待て」という指示です。ブロックを重ねることで、足し算してパラメーターを与えられるというわけです。
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かっこの形をしたループブロックもあります。ループブロックの上に数字を置くことで、繰り返し回数も指定することができます。エレガントな方法でプログラミングの重要要素であるループを学ぶことができる、と開発元は言っています。
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さらに同時実行すらできます。下の例では、黄色の開始ブロックから2方向にブロックが伸びています。開始ボタンを押すと下側の音を鳴らすという動作と、右側の待機してから移動するという動作の二つが並行して実行されます。
開発元はこれをマルチスレッドと呼んでいます。とてもおもちゃとは思えない複雑なことができてしまいますね。Algobrixの対象年齢は4から14歳です。
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いろいろできるのはいいのですが、いきなりAlgobrixだけ持っていても、何をしていいのかわかりません。そこでカードが用意されています。
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カードの表にはゴールが、裏側にはやり方が書いています。このカードだと「まっすぐ行ってUターンする」というのがゴールで、やり方は「直進+回転+直進」になっています。レベル別に分かれていて、これはベーシックレベルです。
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中間レベル、上級レベルもあります。この中間レベルのカードでは、「壁にぶつかるまで進んで、赤い光を感知したらターンして戻ってくる」というのが目的です。
Algobrixは条件分岐とセンサーもあるので、このような複雑なことができるようになっています。ただこれはかなり難しいですね。ブロックを置くだけでなく、上にパラメーターも置かなくてはなりません。相当慣れてからじゃないと組めないと思います。デバッグに手こずりそうです。
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マップも用意されており、道路に沿って動かして遊ぶことができるようになっています。
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ブロックは11種類あります。
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さらに計15種類あるパラメーターが加わります。
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非常に自由度が高いゆえに、ブロックの組み合わせによっては実行不可能な状態というのも存在します。そうなったときは赤い色で教えてくれます。
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並列処理やら条件分岐といったことができ、とても自由度が高いです。なおかつ、タブレットといったコンピューターの画面を使わず、「実際に手で触って試行錯誤できる」、というところが特徴です。最初に挙げたSTEM教育用おもちゃと比べると、
・Cubettoは、手で触ってプログラミングできる
・KOOVは、条件分岐ができる
この両方のいいところを兼ね備えたような構成になっています。またTuring Tumbleと比べると難易度は多少はましです。それでもパラメーターブロックを使いこなすのはかなり難しそうですが・・。

まとめ

お値段は、最小限のスターターキットが$169+送料$25で、$194(約21,100円)です。
キットによって入っているブロックなどがことなります。
2017/9/21まで支援受付中です。
https://www.kickstarter.com/projects/543628386/algobrix-the-ultimate-coding-learning-game

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