Kickstarterにパトロンシステム創設。内容と目的は?

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Kickstarter運営が、新たにKickstarter Patrons(パトロン)という制度を創設しました。
https://www.kickstarter.com/blog/introducing-kickstarter-patrons
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Kickstarter Patronsとは

Kickstarter Patrons(パトロン)とは、プロジェクトに対する支援を促進する仕組みです。
まずパトロンとなりたい団体がKickstarterに申し込みます。申し込みが通れば、パトロン一覧のページに団体名が掲載されます。現在は二つの団体がリストに載っています。
パトロンはいくら支援するかを事前に申請し、その金額が掲載されます。例えば下の画像のパトロンの場合は、10万ドル(約1,060万円)と1万ドル(約106万円)です。金額は1000ドル以上です。
https://www.kickstarter.com/patrons
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パトロンは非営利団体、営利団体のどちらでも可能です。パトロンはどういう方針でプロジェクトを支援するのかを宣言します。例えばPinewood Atlanta Studiosの場合「ジョージア州の偉大な女性映画製作者のパトロン」と書かれています。アトランタ市はジョージア州の州都です。
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Pinewoodの個別ページを見ると、Pinewoodの紹介が簡単に書いてあります。映画やエンターテイメントの製作スタジオで、700エーカーの広さがあり、ワールドクラスの設備を探している人に様々なサービスを提供しています、といったことが書かれています。
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そしてAtlanta Studiosがプロジェクトに求めるものが記載されています。オリジナリティ、明快さ、ビジョンといったこが書かれています。さらに、ジョージア州に在住する女性の映画製作者が少なくとも一人いるプロジェクトチームが考慮される、とも書かれています。
ここでAtlanta Studiosパトロン欄に記載されている「ジョージア州の偉大な女性映画製作者のパトロン」というコンセプトとつながっていますね。
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パトロンの理念をKickstarter運営が読み、それにあったプロジェクトを運営がパトロンに提示します。そのなかからパトロンはプロジェクトを選び、お金を支援します。この支援する部分は通常のKickstarterのプロセスと同じです。
違うのは
・事前にパトロン申請する
・事前にコンセプトを宣言する
・運営がプロジェクトを提示する
というところです。パトロンがどういうプロジェクトを支援したのかは、ほかのユーザーから見ることもできます。
このKickstarter Patronsはパイロットプログラムです。今後1年間を通してKickstarter Patrons制度の様子を見ると運営は述べています。

狙いは?

最終的にパトロンがお金を支援する、という点では通常の手順と変わりません。ではこういったシステムを導入する意味はどこにあるのでしょうか。
これは、映画やドキュメンタリー、アートといったカテゴリーを運営が盛り上げたい、ということではないかと筆者は思います。
Kickstarterではガジェット、バッグ、ジャケットといった物を作るカテゴリーは非常に人気があります。有名なものではOculus Riftも元々はKickstarterのプロジェクトです。
その一方で映画やアートといったカテゴリーは、テクノロジー分野に比べると知名度はいま一つではないでしょうか。Kickstarterの映画分野が全く盛り上がっていないわけではなく、アカデミー賞にノミネートされた作品もあります。あくまで相対的な知名度ではです。
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Kickstarterは以前から、利益の一部をアート分野に寄付すると宣言しています。映画などの分野にてこ入れするというのは、そういった運営の姿勢とも合致します。また今回のパトロン創設時の団体二つは、いずれも映画です。そのあたりに運営の意図があるのではないかと思います。
ただこの制度も、パトロンが現れなければ成り立ちません。初期の2団体以外にも現れるのか、今後注目していきたいと思います。

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