Indiegogoで開発段階の明示や月次報告が義務に。その理由は?

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2017年9月7日、Indiegogoが規約を大きく改訂しました。テクノロジー系プロジェクトでは開発段階の表示が義務に、またすべてのプロジェクトで月次報告が義務になりました。

背景

Indiegogoは、Kickstarterと並ぶ2大クラウドファンディングサイトの一つです。
IndiegogoとKickstarterは、どちらも支援すると商品がもらえる商品型のクラウドファンディングサイトです。システムもお互い非常に近いです。しかし違いもあります。
例えばKickstarterに掲載するには、実際に動作する試作品が必要です。構想やモックアップだけでは載せられません。一方でIndiegogoにはこのような縛りはありません。
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他にも違いはありますが、全体的に見ればKickstarterのほうが規約が厳しいです。Kickstarterでは特定の国に在住者がいないとプロジェクトを載せられないというのも、その一つです。
この厳しさの違いには、いい面も悪い面もあります。しかし逆手にとったような動きもありました。Kickstarterで運営から強制停止を食らってしまったプロジェクトが、Indiegogoに載せなおすといったことです。
そういった事情もあり、2016年12月にIndiegogoは規約を厳しくしました。


今回の改定もこの流れに沿ったものと言えるでしょう。

開発段階の表示が義務に

変更点の一つ目は、開発段階の表示が必須になったことです。この規約が適用されるのは、Technology & Innovationのカテゴリーのみです。
2016年9月、Indiegogoではプロジェクト責任者が任意で開発段階を表示できるようになりました。
次の四つの段階です。
・コンセプト
・プロトタイプ
・製造段階
・出荷段階


今までは任意であったため、表示しないということもできました。しかし今回の改定により、必ずどの段階が表示することになりました。
プロジェクトがまだ構想だけの段階なのか、それとも量産して出荷できる段階なのか。これはお金を出す支援者から見れば、とても大きな違いです。
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構想だけの場合、実際に試作してみると技術的に実現できなかったということも当然起こりえます。支援する側から見ればとてもリスクが高いです。
一方で試作品を作り、工場に委託して量産し、出荷できる可能になっている場合、構想だけの段階から比べればリスクは相対的に低いです。この段階でも思っていたのと実際の商品が違っていた、と言ったリスクは依然としてあります。リスクゼロではありませんが、かなり大きなリスクの違いです。
これらを明示して、お金を出す人が自分で判断しやすい環境を作る、というのがこの改定の狙いです。なおかつ、構想段階でも受け付けるというIndiegogoのおおらかなところは残しています。
適用されるのはTechnology & Innovationのみですが、残りの二つのカテゴリーには次のものがあります。これらには適用されません。
・Creative Work (アート、漫画、ダンス、映画、音楽など)
・Community Projects (動物保護、文化、教育など)
試作品や出荷といった分類は、動物保護やダンス公演に適さないことは明らかです。

月次報告が義務に

変更点の二つ目は、すべてのプロジェクトに対して最低月一回の報告が義務になったことです。
プロジェクトのページには、プロジェクト責任者が近況報告を載せることができるようになっています。今まではこれが任意でした。
しかしこの任意であるという点が問題で、支援者がよくわからないうちに音信不通になってしまうことがありました。ややこしいことに、音信不通になったが実はちゃんと進捗があって、突然届いたというプロジェクトも筆者は経験したことがあります。
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Indiegogo運営はこうした背景を考慮して、月一回の報告を義務にしたのだと思います。報告と言っても何も手の込んだことをする必要はなく、たとえば作業状態の写真を載せるということが例として挙げられています。義務にはなりましたが、だから負担が増えたとは言えないと思います。
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まとめ

これらの変更は、支援者から見ればメリットがあることばかりです。なおかつ、Kickstarterとの特徴の違いは残っています。よく練られた策ではないでしょうか。

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