ソニー銀行のクラウドファンディング、今までの違いは何か?をわかりやすく解説

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ソニー銀行が、新しくクラウドファンディングを立ち上げました。しかしKickstarterやIndiegogo、Seedrsなどと異なる方式です。
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SONY Bank GATEとは?

ソニー銀行がはじめたSONY Bank GATEは、クラウドファンディングの一種です。ユーザーは企業のプロジェクトに対してお金を提供します。企業はそのプロジェクトを実行し、プロジェクトから得られた売り上げの一部をユーザーに支払います
http://moneykit.net/visitor/sbg/
ユーザーが得られるお金は、プロジェクトから発生した売り上げに対する割合制です。このため、もしプロジェクトが成功して大きな売り上げを作れたなら、ユーザーもそれだけ多くのお金を得ることができます。
反対に市場の評価がいまいちで売り上げが小さかったという場合は、受け取ったお金 < 支払ったお金、にもなりえます。割合制ゆえに最悪の場合は受け取り額が0円、すなわち投入したお金をすべて失うこともありえます。
下のグラフの例では、青色が売り上げ、オレンジが分配金です。左側の売れた例では青色のバーが高くなっており、その分オレンジ色の分配金も高いです。その結果、黄色の元本バーの高さを超えました。
逆に右側のあまり売れなかった例では、青色の売り上げバーが低くなっています。その場合はオレンジ色の分配金も少なくなり、元本を下回りました。
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元本が返ってくる保証はありませんが、その代わりにうまくいけば得られるお金も大きい、というシステムです。つまり投資ですね。Kickstarterのような商品/支援型のシステムと大きく異なります。
注意点として、ユーザーがプロジェクトの売り上げからお金を得られるのは、「会計期間」として期限が決まっています。例えば2017年8月1日から2018年7月31日までの1年間などです。この期間が過ぎた後は、ユーザーはお金を得られません。同じ投資であっても、会社が存続している限り持ち続けられる株式と違うところです。
この会計期間はかなり重要です。例えばプロジェクトが最初はあまり売れなかったが、徐々に口コミで広まってロングヒットしたという場合、このシステムではユーザーは得るものが相対的に小さくなります。

出資特典

プロジェクトは、ユーザーがお金を出した出資特典として、何らかの商品をつけることができます。たとえばプロジェクト第一号の「eRemote proプロジェクト」では、20万円出資することによりeRemote proの製品が1台もらえます。
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予定価格は18,000円なので、出資金額の9%にあたります。この特典は、前述の売上から得られる分配金とは別扱いです。つまりお金を出した出資者は
・売り上げから得られる分配金
・出資特典
の両方の見返りがあります。ただし出資特典がすべてのプロジェクトで必須かどうかは不明です。また今回の特典は出資額の9%相当でしたが、この割合はプロジェクトによって変わってくると思います。
前者の分配金はCompanistoなどの出資型クラウドファンディングに近く、後者の特典はKickstarterやIndiegogoなどの商品/支援型に近いです。SONY Bank GATEは両者の性質を備えたハイブリッド型だと言えると思います。

なぜ商品型ではないのか?

しかし特典をつけるなら、なぜ最初からKickstarterのような商品型のクラウドファンディングにしないのでしょうか。その方がシステムははるかにシンプルで、わかりやすいです。
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これは商品型だと、商品以上の金額を集めにくいためです。Kickstarterで1万円相当の商品に対して、10万円の支援を求めるようなこと自体は可能です。しかしその設定ではまずお金は集まらないです。ホワイトハウス(アメリカ大統領府)など、ものすごく有名な組織が行わないと難しいです。
一方でSONY Bank GATEでは、特典以外にも分配金があります。このため1万円相当の特典に対して、10万円の出資を求める比率でも成立します。第一号プロジェクトのeRemote pro場合、特典18,000円に対して20万円出資になっています。実際これで予定していた200口に到達しました。
特典の用意に使わなかったお金は、会社側が自由に使えます。運転資金にするなり、設備投資するなり、研究開発費にしたりできます。この点がKickstarterなどとの大きな違いです。Kickstarterでは特典の価格と支援する金額が近いため、商品を提供するだけで精一杯のところが多いと思います。

First Flightとの違い

ソニーは、自前のクラウドファンディングサイト「First Flight」というものも立ち上げています。First Flightはお金を出すと商品が得られる方式です。お金を出してお金を得ることが目的のSONY Bank GATEとはこの点で大きく違います。
またFirst Flightは現状、ソニー自社の製品のみを掲載するという決まりがあります。一方で今回のSONY Bank GATEは、ソニーグループ以外の会社がプロジェクトを載せるという決まりがあります。第一号プロジェクトのeRemote proは、株式会社リンクジャパンによるものです。

まとめ

・元本を失うリスクもあるが、売り上げ割合でお金が返ってくる
・分配金の計算には会計期間がある
・商品型クラウドファンディングと比べて、事業会社は余裕をもってお金を集められる。
 

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